思いませんか? 理系って、ユーモアグッズがたくさんあってずるいって。そう思いませんか?
たとえば、「理系Tシャツ」で検索してみると、さまざまな種類のTシャツが販売されており、なんと理系Tシャツだけを集めた特集も組まれていたりします。
しかし、「文系Tシャツ」で検索してみても、ヒットしないのです、なーんにも。
たしかに、文系は理系みたいに、Tシャツにして面白がれるようなネタは少ないかもしれない……。しかし探してみれば一つや二つくらいはあるはず。それに、無いのなら作れば良いのです。誰が? そう、僕が。
というわけで、文系Tシャツを自作して実際に注文してみましたので、その過程などをご報告いたします。
何を題材にするか?
文系Tシャツを作ろうとはいったものの、一体何を題材にすれば良いのか……。
僕は、大学時代は文学部文学科に所属しており、卒業論文は太宰治について書きました。であれば、まずは太宰治を題材にしたTシャツを作ってみるのが良さそうです。
今回は、TシャツをpixivFACTORYで作ってみることにします。pixivFACTORYは、イラスト・マンガ・小説などを投稿できるサービス、pixivを運営するピクシブ株式会社が提供しているサービスです。ブラウザ上でTシャツをはじめとしたグッズのデザイン調整を行うことができ、もちろんそのまま発注することもできます。
pixivFACTORYには、ブラウザ上で文字や図形を配置する機能があるため、簡易的なデザインのTシャツであれば、pixivFACTORY上だけで制作を完結させることができます。
たとえば、以下のようなTシャツであれば、ものの30秒で作成できます。

このまま発注しても良いのですが、これだとあまりにも捻りが無さすぎるような感じがします。ネタTシャツっぽすぎますし、こんなにでかでかと「人間失格」と書かれていると、「あいつ太宰治のこと好きなんだな」とすぐにバレて恥ずかしい……。
というか、日本語ががっつり入ってるTシャツって個人的に少し恥ずかしいんですよね。太宰治関連のグッズで、「斜陽」の生原稿をプリントしたTシャツがあるのですが、これはちょっと普段から着るのは勇気がいるなと思い、購入をずっと見送っています。
文系をネタにしたTシャツで欲しいと思うもの……? 過去に購入したTシャツのことを思い返しながら、そういったものがあっただろうかと考えてみました。すると、ふと思い出すもののがあります。それは、ジョージ・オーウェル『一九八四年』モチーフのTシャツです。早川書房から発売されています。

pTa.shopで販売されている一九八四年Tシャツの一覧より
これ、めっちゃ格好良くないですか?
「BIG BROTHER IS WHATCHING YOU」とデザインが施された書体で書かれており、かなり目を引きます。しかも、「ビッグ・ブラザー」が何であるのかは『一九八四年』のことを知っている人じゃなければ分からないので、かなり、文系の文脈に乗っかったネタTシャツになっていると思います。
ここで、僕は次のことに気づきました。
- ある程度はデザインされている感があった方が良い
- 英字基調のデザインにした方がバランスを取りやすい
上記のことを勘案しながら、次なるTシャツ制作に取り組むことにします。しかし、pixivFACTORY上だけでデザインをするのには限界があります。簡易的なものを作るだけであればとても便利な機能なのですが、腰を据えて制作するのであれば、しっかりとした環境で作りたい。
というわけで、今回はAdobe Illustrator 2024を使って作成してみることにします。
NO LONGER HUMAN Tシャツ
そして、実際に作ったTシャツがこちら。
『人間失格』モチーフのTシャツ作ったんですけど、思ったより上手にできたので見て pic.twitter.com/cakcWbUaE3
— あとーす (@atohsaaa) June 19, 2025
最も目を引く「NO LONGER HUMAN」は、『人間失格』の英訳です。直訳すると「もはや人間ではない」というような意味になるでしょうか。
文字要素だけでデザインするのは難しいので、ここにグラフィックの要素を追加していきます。今回は、ChatGPTの画像生成機能を使うことにしました。
AIに生成してもらった画像は3枚。写真が3枚……というところで、太宰治好きの方であればお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。この画像は、『人間失格』の冒頭「私は、その男の写真を三葉、見たことがある。」に対応しています。
三葉の写真とは、『人間失格』の一人称主体である「大庭葉蔵」の写真のことです。幼年期、青年期、老年期の3枚の写真についての描写が冒頭でなされています。
今回は、ChatGPTに、『人間失格』の文章から写真を生成してもらうように頼んでみます。たとえば、幼年期の写真については、以下のように依頼してみました。
次の画像を生成してください
その男の、幼年時代、とでも言うべきであろうか、十歳前後かと推定される頃の写真であって、その子供が大勢の女のひとに取りかこまれ、(それは、その子供の姉たち、妹たち、それから、従姉妹いとこたちかと想像される)庭園の池のほとりに、荒い縞の袴はかまをはいて立ち、首を三十度ほど左に傾け、醜く笑っている写真である。
青空文庫のテキストをそのままコピペしたため、プロンプトの中に振り仮名もそのまま入っています
すると、以下の画像が出力されました。

すごい、こんな簡単に理想の結果が得られてしまって良いのだろうか……。
文章の中には時代背景についての言及はありまんが、勝手に白黒写真にしてくれています。髪型も現代風ではなく、大正末期〜昭和初期という雰囲気。おそらく、太宰治の文章であるというコンテクストも取り込んでいるのでしょう。
そのあと、青年期と老年期の画像も出力してもらいました。
老年時代の写真については、バランスを取るために横長の方が良いなと思っていました。最初は縦長の写真が出力されたのですが、「横長の写真にしてください」と伝えると、すぐに横長のものを出してくれました。たすかる。
老年期の写真の横に印字されている文字はフランス語で、ヴェルレーヌの詩です。これは、太宰治「葉」のエピローグとして掲げられている「撰ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり」という詩の原文を記載してみました。
また、一番下の文章は、『人間失格』の「恥の多い生涯を送って来ました」から始まる有名な箇所を、ローマ字化して載せています。
これらの作業は、前述したようにIllustratorで行いました。

僕は使い慣れているのでIllustratorを使いましたが、たとえばFigmaやパワーポイントなどを使っても、同じようなデータは作れると思います。
あとの作業はとっても簡単です。pixivFACTORYにログインして、画面右上の「グッズを作る」を選びます。
次に、作りたいグッズの種類を選びます。今回は、ゆったりめに着たいと思ったので、Tシャツの中でも「ビッグシルエットTシャツ」を選びました。
アイテムを選ぶと編集画面になるので、ここにドラッグ&ドロップで作成したデータを配置してみます。
データをアップロードすると、勝手に大きさを決めて中央に配置してくれます。とても便利。

「プレビュー」をクリックすると、実際の仕上がりの様子を見ることができます。

プレビューを見ながら、大きさ・配置を調整していきましょう。問題ないと思ったら、「保存する」をクリックします。
Tシャツを発注する
Tシャツのデザインが完了したら、そのまま発注することができます。完成画面の中の、「カートに追加」をクリックしましょう。

すると、S〜XLまでのサイズごとに注文できます。それぞれのサイズの欲しい枚数を選び、「注文手続きへ」をクリックします。あとは、画面に従って注文を完了してください。
オンデマンド販売も可能
pixivFACTORYで作ったTシャツは、同じくピクシブ株式会社が提供する通販サービス「BOOTH」でオンデマンド販売を行うことも可能です。
オンデマンド販売は、注文があった場合にTシャツを1枚ずつ印刷してくれるというものです。在庫を持つ必要がありませんし、発送もピクシブ側が行ってくれます。
販売を行いたい場合は、画面右上に表示されている自身のアイコン画像をクリックし、「つくったグッズ」をクリックします。
すると、先ほど作成したTシャツが表示されているはずです。そちらをクリックしてください。
画面の上の方に、「このグッズを販売する」と書かれている箇所がありますので、こちらをクリックしましょう。あとは、BOOTH側の場面で設定を行っていきます。
BOOTH側の設定は、画面に従って入力していけば簡単です。マージンを設定すれば、自動で計算して販売価格を決めてくれます。
というわけで、「NO LONGER HUMAN Tシャツ」も、本サイトの姉妹サイトである蓼食う本の虫のBOOTHで販売しております。気になる方は、ぜひご購入いただけると嬉しいです!


